縫製工場を救いたい!の裏側

僕は決して「無慈悲」なことを言いたいわけじゃない、

ましてや夢を諦めているわけでもない。

ただ、

本当にたくさんの熱い学生さんや、アパレル関係の方々が

「アパレルをなんとかしたいんだ!」と言ってこの業界に入ってきて、

もしくは取り組もうとして諦めたり、苦戦していたりすることが多く、その理由はとてもシンプルであり、

とても難しいからなのだ。

先日ある学生さんからの取材で

「今縫製工場に足りないリソースはなんですか?人ですか?設備ですか?」

と聞かれた、

確かに高齢化していて、設備も古くなっていて、

最新の設備を入れたらそれが解決されるようにも感じる。

ただ、

答えは明確である。

金がない。

それだけだ、

めちゃくちゃ大きな縫製工場は別として、

5名で運営している縫製工場があるとする。

そこではブラウスを縫っていて加工賃1500円で縫ってるとする、

同じブラウスをただひたすらに。(そんな好条件もなかなかないが)

1人が裁断をやっているとしたら縫い子さんは4名で一日25枚くらい縫っているとする。

25日働いて625枚縫って売り上げは937,500円だ、家賃光熱費など経費で15万円かかっていて全員が国民健康保険だとする。(あかんけど)

それで787,500円残るわけだ、

糸の仕入れなどは今回考えないとして純粋にみんなで分けると一人157,500円になる。

個人で年金やら払っていくので手取りで13万ちょっとか、

で、その工場にあるファッション系の専門学校から卒業した20歳の女の子が

「就職したい!」と入ってきたとする。

この子が入ることで縫い子さんは4人から5人になる。

じゃあ縫える枚数は1日25枚から30枚になるか、というとそうはならない、

おそらくはじめの数ヶ月は「教える」作業が増えるのでむしろ減るだろう。

そして半年くらいしてやっと増加し出したとして、一年たった頃1日28枚くらいになったとする。

そして25日働いて、月間700枚縫えるようになる。

売り上げは1,050,000円、家賃など引いて90万円残り、

これを6名で分ける、15万円。

給与下がってる

最初の1年間はずっと赤字なのでその補填も入れると目も当てられない。

週一休みで社会保険なし、手取り15万円

で、やっと利益出せるよになった三年目くらいでやめていくわけだ。

さて、

どこが問題でしょうか。

ブランドと工場をつなぐプラットフォーム、

でもなく、

設備的なリソース、

でもなく、

ただただ加工賃を2000円にしてくれ。

それだけなんです。

ZOZOに出して利益圧迫するくらいなら、

自社ECで利益率あげて工賃を2000円にしてくれ。

本当にそれだけなんです。

工場は金がない。

綺麗事も、ITも、AIも、感動も、ブランドも、

何もいらない。

加工賃をあげてくれ。

それで大抵の問題は解決する。

もちろん工場側にも「それ相応」の価値が必要だ、

しかし普通に朝から晩まで週一しか休まず手取り15万(社会保険抜き)しか稼げない

「ベース」がおかしいのだ。

ここからが大きな問題だ、

じゃあ心あるメーカーやブランドがその現状に気づき「よしそうか!加工賃をあげよう!」と加工賃をあげるとする、

でも原価率は変えられないから加工賃が500円上がる(加工賃が30%くらいアップしてる)からと言って売値を30%アップしたら?

15000円の商品が19500円になったら?

買う?

これが問題だ。

問題の解決を目指す人も消費者なのだ、

アパレルは楽しい、面白い、かっこいい。

だけど問題もたくさんだ。

それも含めて、

楽しい。

そう思えるならぜひ一緒に服づくりを変えていこう。

一緒に。

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