作ることを学ぶことは国際人になること

 

私たちは縫製工場を運営しているが、

それと同時に「縫う事」を提供している。

2020年12月から正式にスタートするソーイングスクール では6歳から入会可能で、約2年8ヶ月かけて1人で洋服を縫えるように育てていこうというカリキュラムを提供する

またその教材の一部はネットでも販売を行い、自宅で動画を見ながらオンラインでソーイングを学ぶことができる。

またソーイングキットはプロのアパレルデザイナーとのコラボも行っていて、プロのデザイナーは「将来のお客様」を育てると同時に自分たちのデザインやコンセプトを深く知っていただきまし環境問題などについても学ぶ価値を提供できる。

 

僕たちはソーイングスクール は「国際人を作ることだ」と位置付けているが、

それはなぜか?

ミシンを習うことに対してネガティブに感じる人は少ないだろう、しかしそこまで大袈裟に「国際人を作る」なんてなぜ言えるのだろうか?

 

その理由は大きく分けて3つある。

  • SDGsの存在〜日本は環境後進国〜
  • 今後テクノロジーで解決できない問題
  • 環境ビジネスは儲かる

 

1.SDGsの存在

DGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。そもそもどう発音するかというと、SDGs(エス・ディー・ジーズ)です。時々エス・ディー・ジー・エスと読まれる方がいらっしゃるのですが、最後はGoals(ゴールズ)の略です。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

 

このSDGsを「世界の偉い人が決めた単なる地球を良くしようとするキャンペーンだ」と考えている人は多い、

世界に比べても圧倒的に多い。

先日某大企業の偉い人と話していたがそんな人ですら「リサイクルなんて面倒だから燃やしちゃえばいいよ」なんて嘆いていたくらいだ。

それくらい日本においてSDGsの認知度は低いしましてや実行しようとする人は少ない。

実際G7(主要先進国)の中で日本の環境意識は最下位であった。

 

6位のアメリカにすらほぼダブルスコアをつけられて圧倒的に「環境を無視している国」が日本なのだ。

これはただ単に「環境について意識してない」ということが問題なのではない、大問題なのは環境や人権に対してすでに多くのお金が動き始めており、世界の基本的な考え方は「人権や環境に優しいビジネス」になっているということだ。

日本でも少しずつ「サスティナブル」とか「ダイバシティ」とかそんな文字を見るようになった、しかし言葉を知っているのと行動しているのでは大きく違う。

 

例えば2020年2月からフランスでは新品衣類の廃棄が法律で禁止された。

https://www.wwdjapan.com/articles/1034919

 

日本では現在約40億着の洋服が流通し、その半数が新品のまま売れずに何らかの処理をされている。

在庫としてアウトレットにして販売するか、それでも売れないものは焼却処分にするなどだ。

ファッションの中心地のフランスではこうした償却処分などには罰則がつくことになった。

 

他にもイギリスでは2035年までにディーゼル含め「ガソリン車の販売を禁止」と明言された。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/britain-gasoline-ban_jp_5e4b5d32c5b6b0f6bfee3a18

 

日本において後10年ちょっとでガソリン車を0にしようと誰が進めるだろうか?

しかし世界では着実に現実のものになってきている。

つまり世界はSDGsを基本とした環境や人権に配慮した方向にシフトしているのだ、

なのに日本ではSDGsって何?という人が大多数を占める。

そして具体的な行動をしている人は少ないだろう。

 

テクノロジーでは解決できない問題

そして残念ながらこの「自然に配慮するとか」「人権を意識する」とかいう感覚は買ってこれるものじゃない。

一人一人が心の底から思う必要がある。

今までグローバルな人材を作るというと「言語」を学ぶ人が多かっただろう、そして今でも多いだろう。

しかし言語の問題の多くはテクノロジーで解決できる。

最近のGoogle翻訳のクオリティは本当にびっくりだし、なんなから通訳を使えば自分自身が話せなくても問題なく仕事できる。

そして言語のハードルもどんどん下がっていて、今国際会議を行ったところでネイティブな英語を話せるアメリカ、イギリス、カナダなどの国の人たちよりも中国、日本、韓国、フィリピン、シンガポールなど英語圏じゃない人が多い、つまりネイティブの英語なんて必要がない。

僕がオーストラリアで働いていたホテルなんてインド人、台湾人、日本人、韓国人、フランス人などごちゃ混ぜでお客様もネイティブでない人がほとんどだったからネイティブな英語教育はもはや必要ないのではないか?とすら感じた。

 

しかし「感覚」というものはこんなテクノロジーでは解決できない。

AIが今からやるビジネスを教えてくれるわけではないし、自分が将来やったほうがいいことを教えてくれるわけではない。

洋服を着るときにや車を選ぶときに「その車はダメです」と教えてくれるわけでもない。

自分自身がビジネスを行うときに「世界基準」で考えられるかどうか、それが今求められている思考であり常識なのだ。

その思考を子供の時から学ぶことが今からの子供達には必要であると考えている。

だって今の10歳はSDGsの達成ゴールである2030年に20歳になる。

その時世界はより「環境問題」に対してどんな教育をしてきているのか?どんな常識を持っているのか?

という話題で盛り上がるのに今のままでは日本人は「レジ袋が有料化されて辛い」なんて話をまだまだやってるわけだ。

これではいけない。

 

環境ビジネスは儲かる

 

これだけを書くと「なんと悪いやつなんだ」と言われてしまいそうだ。

しかしそうではない、ESG投資という概念がある。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。今日、企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広まってきています。一方、ESGの観点が薄い企業は、大きなリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業だということを意味します。ESGの観点は、企業の株主である機関投資家の間で急速に広がってきています。投資の意思決定において、従来型の財務情報だけを重視するだけでなく、ESGも考慮に入れる手法は「ESG投資」と呼ばれています。ESGと似た概念にSRI(社会的責任投資)という言葉がありますが、最近ではESG投資のほうがより使われる傾向にあります。ESG投資は、他にも「責任投資(Responsible Investment)」「持続可能な投資(Sustainable Investment)」など様々な呼称がありますが、意味は同じです。

 

そして世界のESG投資額は2016年に比べて2018年度は34%増加し3400兆円になっています。

従来の「ただ儲かればいい」という投資は「環境や人権に配慮していないことがリスクである」と市場に判断され、経済的にも合理的にESG投資に移行しているわけだ。

実際に電気自動車しか作っていないアメリカのテスラ社はトヨタを抜いて車の世界で世界一の時価総額になった。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00109/070600027/

 

先日アメリカのシリコンバレーで投資関係を支援する方とお話ししたときに「ファッションをサスティナブルな形に変える」というビジネスモデルはアメリカの投資市場ではすでに「またか」とため息をつかれるくらい常識になっていると言われた。

 

日本ではまだ「日本製で高品質!」なんて言ってる間に世界は新しい仕組みをどんどん作って、どんどん投資が集まって、それがスタンダードになってきているのだ。

 

これからこれから世界はどんどんと近づいてくる。

外資系の会社に入るだけではなく、どんな仕事についても世界基準で思考することが必要になるだろう。

その時あなたの子供たちは「世界基準の思考」をすることができるだろうか?

 

1000円で買った服を「プリプラ」で大量に買ってきて使い捨てる環境でそんな思考が育つはずはない。

「大切に使う」という当たり前の感覚すらもなくなってきている日本人がこれから世界で活躍し生きていくためには間違いなく教育が必要なのだ。

 

今の僕たち(30代)の祖母の時代は本当に物が無い時代だった、だから口を酸っぱくして「ものを大切にしろ」と教えられてきたのだ、しかしその次の世代(母の世代)ではものが溢れるようになった、

そしてモノで溢れた僕たちの親世代は「安いものを使い捨てる」という教育を知らず知らずのうちに植え付けた。

親世代が悪いのではないが、市場がそのように変化した結果そういう教育はスタンダードになった。

 

しかし今世界の市場は変わろうとしている。

ものを大切にするという時代が再びきているのである。

 

前置きがかなり長くなったが、

それが僕たちは「作る」を販売する理由だ。

ただ単にものを販売するだけではいつまで経っても心は変わらない、

「作る」という体験や経験、そしてそれを大切に使うという経験を通して「ものは大切にするもんだ」という当たり前の心を作ってもらいたいと思うのだ。

 

 

だから僕たちは作るという体験や経験を教室の運営や、ソーイングキットの販売などを通して行っている。

決して企業の奉仕活動ではなく、ビジネスとして必要だと感じているから。

 

私たちのビジョンは日本の縫製業を次世代につなぐというものだ、そのためには職人を変えるだけではダメだ。

まずは「消費を変える」という必要がある。

そのためには多少時間がかかるだろうけれど子供たちの心から変えていく必要がある。

 

10年かかるか、20年かかるかわからない。

それでも僕たちは「作ることで物の大切さを伝える」という古くて、しかも超最先端な常識を植えつけていきたいと思う。